L' HOMME DU TRAIN 

列車に乗った男』仏・独・英・瑞(2002)
監督:パトリス・ルコント、主演: ジャン・ロシュフォール
ジョニー・アリディ

田舎町に銀行強盗にきた中年男が、詩を教える老紳士と出会うことになる。泊まる場所が無いため、老紳士の屋敷に滞在することになり、奇しくも老人の手術予定日と強盗の決行日が同じであるため、その日まで奇妙な共同生活をすることになる。違う人生を歩みたかった(母親の束縛のため出来なかった)老人と、逆に静かな生活を求めている男。お互いの人生を入れ替えたかった二人。
老人が新しい一歩と言って、レストランで騒ぐ若者を叱りつけたら、昔の生徒だったり、室内スリッパを始めて履いて歓ぶ中年男など一つ一つのシーンや台詞が練られており、またパン屋の女将やら一日に一言しか喋らない男、驚異的な詩の解釈をする生徒などの周辺人物にも哀愁を持つおかしさがあって、隅々まで意識が行き届いており片時も目が離せない。
ラストシーンに於いては、列車に乗る男が逆になる(それが現実か虚構かを宙吊りにしたまま)のは冒頭ときちんと呼応していて至極真面目な終わり方に成っている。
フランス映画らしい、フランス映画。